私のクライアントの多くは、歯科医院の経営者です。
ご相談の多くは、「スタッフの主体性が育たない」「生産性が上がらない」「離職が多い」といった、経営者視点の課題に集約されます。
しかし、実際に現場へ入ると、違う景色が見えてきます。
スタッフから聞こえてくるのは、
「勉強しても、実践する時間がない」
「金を稼ぐための道具のように扱われている」
「どれだけ頑張っても、豊かになるのは院長だけ」
といった声です。
多くの医院では、スタッフのリソースを高めるために必要な環境や制度が整わないまま、付け焼き刃的な指導や単発の研修が行われています。その結果、学びは現場に落ちず、実践されないまま形骸化していきます。
さらに追い打ちをかけるのが、院長の何気ない一言です。
——トップへの期待とは異なる言葉
——立場や影響力への自覚を欠いた発言
それらが、スタッフのモチベーションを静かに、しかし確実に削いでいく場面も少なくありません。
私は、長く“従業員側”として雇用されてきました。
だからこそ、その違和感や疲弊の構造は、現場に入った瞬間に理解できます。
ただし、私の依頼主はあくまで経営者である院長です。
正義感を振りかざし、スタッフ側に立ち院長に抗議することが、私の役割だとは考えていません。
DeCMOの支援思想は、とてもシンプルです。
人を変える前に、構造を整えること。
精神論や気合ではなく、再現性のある仕組みで現場を支えること。
環境・制度・役割期待・言葉の使い方。
これらを整理し、スタッフが「学んだことを実践できる状態」をつくる。
その結果として、主体性や生産性が育ち、離職が減っていく——私たちは、そこに本質的な改善があると考えています。
依頼された業務を遂行する中で、私が密かに大切にしていることがあります。
それは、関わったスタッフ一人ひとりが、何か一つでも学びや気づきを得て、それを誰にも搾取されない「自分の財産」として持ち帰ってもらうことです。
それが、自信となり、次のキャリアを支える力になることを願っています。
同時に、私自身も問い続けています。
この仕事は、自分が納得するためだけのものになっていないか。
依頼内容に誠実に向き合い、現場に向き合い、人に向き合う。
——僭越にならぬように。
それでも、プロとして、誠実であり続けたい。
これが、現場に入り続ける中で、今の私が感じていることです。
「松本のつぶやき」について
このブログは、DeCMO代表・松本が、実際に歯科医院の現場に入り、業務を通して感じたことを率直に綴るシリーズです。
- 特定の医院・個人を批判することが目的ではありません。
- 成功事例だけでなく、違和感や葛藤も含めて言語化します。
- 経営者とスタッフ、どちらか一方に寄らない視点を大切にします。
DeCMOは、人を変えるのではなく、構造を整える支援を行っています。
現場で起きている事象を「個人の問題」にせず、環境・制度・役割・言葉の設計として捉え直すこと。
この「つぶやき」が、経営者にとっては立ち止まって考えるきっかけに、
現場で働く人にとっては、自分の経験を言語化するヒントになれば幸いです。
松本
